望遠レンズの撮影距離・必要な焦点距離の計算方法

カメラ・レンズ選び

望遠レンズで被写体を狙った大きさに写す距離は、被写体の大きさ・画面内でのサイズ率・焦点距離・センサー寸法から目安を計算できます。式は「撮影距離=被写体サイズ÷サイズ率×焦点距離÷センサー寸法」です。撮影距離が決まっている場合は式を変形し、必要な焦点距離を求められます。

計算では、横方向なら被写体の横幅とセンサー幅、縦方向なら被写体の高さとセンサー高さを使い、寸法の単位をそろえます。計算値は撮影条件に基づく目安なので、実際の構図はファインダーやライブビューで確認してください。

撮影距離を求める基本式

撮影距離の目安は、次の式で計算します。

撮影距離=被写体サイズ ÷ サイズ率 × 焦点距離 ÷ センサー寸法

計算に必要なのは、次の4つです。

  • 被写体サイズ:画面に写したい方向の実寸
  • サイズ率:画面の幅や高さに対して、被写体をどの程度の大きさで写すかを表す比率
  • 焦点距離:使用するレンズの焦点距離
  • センサー寸法:計算する方向に対応するセンサーの幅または高さ

サイズ率は、フレームに対する被写体の大きさです。たとえば、被写体を画面幅の半分の大きさに写すなら、横方向のサイズ率は0.5です。画面いっぱいに写すのか、余白を残すのかによってサイズ率が変わり、同じレンズでも撮影距離の見積もりは変わります。

被写体サイズ、焦点距離、センサー寸法は同じ単位にそろえてください。被写体サイズをメートル、焦点距離をミリメートルのまま計算すると、単位が合わず正しい距離になりません。たとえば被写体サイズをミリメートルで扱うなら、焦点距離とセンサー寸法もミリメートルにそろえます。

式とサイズ率の考え方は、被写体のサイズと焦点距離の計算方法でも紹介されています。

横幅か高さかを決めて条件をそろえる

計算を始める前に、横方向と縦方向のどちらで構図を決めるかを選びます。横方向で計算するなら、被写体の横幅・センサー幅・画面幅に対するサイズ率を使います。縦方向なら、被写体の高さ・センサー高さ・画面高さに対するサイズ率を使います。

たとえば、鳥の全身を画面の高さのどの程度に収めるかで考えるなら、鳥の高さとセンサーの高さを使うのが基本です。横向きの車を画面幅に対してどれくらいの大きさにするかを決めるなら、車の横幅とセンサー幅を使います。被写体の横幅にセンサー高さを組み合わせるなど、方向がずれると計算結果も意図と合わなくなります。

センサー寸法はカメラの機種によって異なります。使用するカメラのメーカー仕様などで水平・垂直の寸法を確認し、計算に使う方向の値を選んでください。センサーサイズが異なるカメラでは、同じ焦点距離でも写る範囲が同じとは限りません。焦点距離の数字だけで構図を比べず、センサー寸法も含めて考えます。焦点距離と画角の関係も参考になります。

撮影距離から必要な焦点距離を求める

被写体までの距離が決まっているときは、撮影距離の式を変形します。

必要な焦点距離=撮影距離 × センサー寸法 × サイズ率 ÷ 被写体サイズ

撮影距離、センサー寸法、サイズ率、被写体サイズを決め、撮影距離を求めるときと同じ方向・単位で計算します。たとえば、被写体が画面内で占める大きさをサイズ率に反映させてから計算するのがポイントです。被写体が画面の半分ではなく、より大きな割合を占める構図を想定すると、必要な焦点距離の見積もりも変わります。

計算で出た焦点距離は、希望する構図を得るための目安です。実際にレンズを選ぶときは、その焦点距離に近いレンズで狙った大きさに写るか、撮影位置を変えながら確かめてください。被写体の距離・大きさ・画面内のサイズ率のどれかが変われば、必要な焦点距離も変わります。焦点距離だけから撮影距離を一つに決めることはできません。

入力項目を使って必要な焦点距離を見積もる方法として、高精度計算サイトの焦点距離計算もあります。同ページでは広角レンズなどには適さない旨が記されています。計算結果は適用条件を踏まえた目安として扱いましょう。

撮影距離・ワーキングディスタンス・最短撮影距離の違い

記事中の撮影距離は、被写体から撮像素子面までの距離として考えます。一方、産業用カメラのレンズ選定などで使われるワーキングディスタンスは、レンズ先端から被写体までの距離を指す場合があります。測る位置が異なるため、両者を同じ数値として扱わないようにしてください。産業用カメラのレンズ選びでも、ワーキングディスタンスをレンズ先端から被写体までの距離として説明しています。

また、最短撮影距離は、レンズで被写体にピントを合わせられる最も近い距離を確認するための指標です。焦点距離が長いことと、最短撮影距離が長いことは同じ意味ではありません。撮影距離の計算値が出ても、実際にその位置でピントが合うとは限らないため、近距離で撮る場合はレンズの最短撮影距離も確認します。詳しくは焦点距離と最短撮影距離の違いを参照してください。

計算値と実際の写りが異なるとき

計算した距離に立っても被写体が想定より小さい、または大きい場合は、次の順番で条件を見直します。

  1. 被写体の実寸を確認する:計算に使った幅や高さが、実際に画面へ収めたい部分の寸法と一致しているかを確かめます。
  2. サイズ率を見直す:画面幅または高さに対して、被写体が何割を占める想定だったかを確認します。横方向の比率と縦方向の比率を取り違えていないかも見直します。
  3. センサー寸法を確認する:使用カメラの仕様を参照し、計算に使った寸法が機種と方向に合っているか確認します。
  4. 単位と計算方向をそろえる:被写体サイズ・焦点距離・センサー寸法の単位、および横幅同士・高さ同士の対応をチェックします。
  5. 撮影位置と構図を確かめる:計算で想定した距離やフレーミングと、実際の撮影条件が一致しているかを確認します。

撮影距離の見積もりは、被写体の大きさや画面内のサイズ率などを前提にしたものです。実写との差だけでカメラやレンズの故障とは判断できません。近距離撮影や広角レンズでは計算方法が適さない場合もあるため、計算ツールの注意事項やレンズの仕様も確認してください。

まとめ

望遠レンズで被写体を狙った大きさに写す距離は、「被写体サイズ÷サイズ率×焦点距離÷センサー寸法」で目安を計算できます。距離から焦点距離を求めるときは、「撮影距離×センサー寸法×サイズ率÷被写体サイズ」に変形します。

計算では、横幅同士または高さ同士で条件をそろえ、寸法の単位を統一します。センサー寸法はカメラの仕様で確認し、撮影距離・ワーキングディスタンス・最短撮影距離を区別しましょう。最後は実際の構図とピントを撮影位置で確かめると、レンズ選びや立ち位置の判断に役立ちます。